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2012年

11月

28日

児童養護ニュース20121129

◆平成242012)年1123日 読売新聞 東京朝刊

 児童施設退所者 相談の場を 市が就労・生活支援開始=神奈川

 

 横浜市は児童養護施設などを退所した子どもたちの就労や生活の相談に乗る事業をスタートさせた。児童福祉法では、子どもたちは18歳になった翌年の春には施設を出て行かざるを得ない。そして一人で暮らすことになる。身近に相談できる人がいないばかりに、小さなつまずきから、離職などに発展してしまうケースもあるといい、市が支援に乗り出すことにした。

 横浜市内には、児童養護施設10か所などに1~18歳の約610人が暮らしており、毎年約30人が退所している。事業を行うのは、横浜市から委託を受けたNPO法人「ブリッジフォースマイル」(東京都千代田区)。同法人は、2004年から都内を中心に児童養護施設への支援活動を行っている。相談事業は、横浜市西区の横浜駅東口近くのマンション一室に11月にオープンしたコミュニティースペースで行っている。スタッフ3人が常駐し、日常生活の困りごと相談や仕事などに関する悩み相談を受け付ける。また、不動産業者やハローワークへの付き添いも行う。金曜~日曜日は夕飯を一緒に作って食べる企画も始めた。同法人によると、退所者には、会社での先輩や同僚との付き合い方や結婚式での振る舞い方など、家庭で親の姿を見て覚えていくような事柄について戸惑うケースが多いといい、職場での人間関係のトラブルにつながるケースもあるという。スタッフの前畑久美子さん(36)は「入所している段階から信頼関係を築き、退所後の困った時に相談に訪れてもらえるようにしたい」と話す。

       ◇

 コミュニティースペースの連絡先は、0455488011へ(月曜と木曜は休み)。

 

 ◇「自分を助けるのは自分」 25歳女性 身近な相手なく孤独感

 「頼れる家族はいないから自分を助けられるのは自分だけ。病気をして働けなくなったら家賃も払えない」

 高校卒業と同時に、横浜市内の児童養護施設を退所し、いまは同市港北区で一人暮らしをする契約社員の女性(25)は打ち明ける。施設に入所したのは中学1年の夏。4歳の時に母親が突然行方不明になり、5歳年上の兄と一緒に遠い親戚の家に養子として引き取られた。そこで虐待の被害を受けたのが入所の理由だ。親戚の家では、家事の手伝いをさぼった罰にたたかれたり、夕食抜きにされたりした。虐待は徐々にエスカレート。「腕にたばこを押しつけられたり、殴りとばされて家のドアガラスを頭で突き破ったりしたこともあった」。兄は小学6年の時に出て行った。虐待に気づいた友人の母親が学校を通じて市に通報、児童養護施設に保護された。施設を退所後、市内のワンルームマンションで一人暮らしを始めた。アパレルショップの販売員、コールセンターの受け付け業務を経て、今は携帯電話会社の契約社員として働く。「会社での悩みや嫌なことも、家族がいれば気軽に相談できるけれど、自分は全部一人で解決しなくちゃいけない。一つ一つは小さなことでも、積み重なると結構つらい」。ストレスや不安とは常に隣り合わせだ。失業しても誰にも相談できないまま、キャバクラで働き始めた施設退所者の女性も知っている。「相談できる人が身近にいれば違ったかもしれない」と思う。たまに個人的に仲の良かった施設の職員と食事をする。「何気ない会話が心の支えになる」と話すが、施設を訪れることはほとんどない。知らない人に悩みを打ち明けるのは勇気がいるから、市の始めたアフターケア事業を利用するつもりは今のところない。ただ、期待もしている。「最近どう?って聞いてくれる人がいると思うだけでも心強い。退所者に自分は一人じゃないと思えるようなサポートをしてもらえたら」

 

 

◆平成242012)年1123日 毎日新聞 地方版

 ひまわりが咲く日:児童虐待を追う 現場最前線/1 被害の実態、赤裸々に /奈良

 ◇ガイドに医師たちの思い

 

 一冊のガイドに医師たちの思いがつまっていた。虐待から一人でも多くの子供を救いたい。そのためには、「虐待」と診断すべき方法を示すだけでなく、被害の実態を赤裸々にするしかない。収められた数十枚のカラー写真は、その悲惨さを雄弁に語っていた。首を絞められた跡、カッターナイフで肩から腰まで切られた傷、赤くじくじくとしたやけど、全身に広がるうみと湿疹(しっしん)。多くが児童で、生後間もないとみられる赤ちゃんの写真もあった。

 掲載されたのは、県発行の医師用「児童虐待防止ビジュアルガイド」。中心となって昨年3月、作成したのは十数人の医師。勤務医だけでなく、開業医も参加した。領域は小児科、救急、法医学、脳神経外科など幅広い。医療機関が診療を通じて虐待を知る機会は少なくない。しかし、県内の児童相談所への通告は昨年度、全体の約2%。多くの医師は関心が低く、虐待を疑っても通報をためらっている現実が浮かぶ。このガイドはその意識改革も狙った。

 

 ◇事故か否かの診断、難しいケースも

 「虐待の本当の悲惨さを知っていますか」。作成メンバーの1人で、県立医科大付属病院(橿原市)の小児科医、嶋緑倫さん(58)は、記者に問いかけた。「ガイドの写真を見ると、抵抗ができない子供を相手に、『これが人間のやることか』と思うほどひどい」。一方で、虐待か否か、診断するのが難しいケースも経験している。3、4年前、救急搬送されて来た生後数カ月の赤ちゃん。頭蓋骨の内部に出血を起こしていた。両親は「落ちた」と説明したが、落ちてできたものとは思えなかった。「医者としてこれは児童相談所に通報(通告)しないといけません」。はっきり伝え、通告した。その後、どうなったのか。両親は現在、歩くことも話すこともできない重度の障害が残った女児を献身的に介護している。結局、「落ちた」のは虐待だったのか、事故だったのか。今でも分からない。

 県立医科大付属病院は今年4月、研修医を対象に児童虐待の講習を初めて行った。ガイドを配布し、たばこを押しつけられるなどした子供の写真をスライドで紹介。痛ましさに、顔を背ける研修医もいた。法医学と小児科の医師が講師を務め、早期発見の大切さを訴えた。来年度も行う予定で、担当者は「医療の最前線に出る研修医に、虐待が実際にどんなものなのか知ってもらいたい」と話す。

 

 ◇未処置の虫歯、重要なサイン

 「虐待は、口の中を見れば分かる」 橿原市の歯科医、打谷美香さん(48)は、今春の歯科健診で、ある小学生の歯を診て驚いた。ほとんどが虫歯。前年のデータを見ると、状況は同じで、治療した形跡はなかった。異常なストレスがかかって、虫歯を防ぐ唾液がでていない可能性があり、親が治療をさせていないことは明らかだった。カルテにネグレクト(育児放棄)の疑いと書き込んだ。親などから不適切な扱いを受けていると思われる多くの子供を診てきた。「泣いている子はもっといる。守ってあげたい」。今年2月に県が発行した歯科医用「児童虐待予防マニュアル」の作成にかかわった。

 打谷さんら歯科医の有志が、虐待のため一時保護された県内の2~18歳の子供108人について、歯の診療状況を調べたところ、一般に比べ、未処置の虫歯の本数と所有率が高い傾向が分かった。虫歯は虐待の重要なサインだった。昨年から、児童養護施設や乳児院で歯ブラシの使い方を教えるなどのボランティアを始めた。「子供とかかわるすべての人が虐待についての意識を高めてほしい」。一児の母親の思いでもあった。(この項つづく)

 

 

◆平成242012)年1123日 読売新聞 東京朝刊

 数値化で生徒の特徴把握 教師の連携、指導容易に=神奈川

 ◇教育ルネサンス

 ◆川崎市教委の独自プログラム

 

 小中学生に人間関係の築き方を学んでもらおうと、川崎市教育委員会が独自に取り組んでいる「かわさき共生*共育プログラム」が今年で3年目を迎えた。プログラムでは、子ども一人ひとりの心の状態を数値化した「プロット」と呼ばれる一覧表を作成。クラス全体の特徴を客観的に把握できるため、現場の教師からも「他の教師と連携して問題に対処することができ、以前より指導しやすくなった」と好評だ。

 プログラムは、相手の気持ちを思いやったり、自己表現したりする方法を、子どもたちがゲームや共同作業を通じて学ぶ内容。いじめや不登校が問題になったことをきっかけに、2010年から市内の公立小中高校全169校で年6時間行っている。プログラムの効果は、プロットを使って検証される。年数回、子どもたちに28項目のアンケートを実施。満足度や不安感などを数値化して総合し、一人ひとりを点としてプロットに書き込む。プロットの縦軸は「信頼感」、横軸は社会性を表す「スキル」。例えば、左下に多くの点が集まるクラスは、他者への信頼感が低かったり、協調性が低かったりする子どもが多く、点の分布によってクラスの特徴や個々の子どもの状態がわかる仕組みだ。明るく見える子がプロットでは悩みや不満を抱える位置になり、思わぬ発見につながることもある。市立中野島小学校(多摩区)ではプログラム導入後、学年会議で各クラスのプロットを見せ合い、綿密に情報交換を行っている。担任は他の教諭から指導方法のアドバイスをもらったり、トラブルの対応策を話し合ったりして学級運営に生かしている。教師の指導力までも可視化するようなプロットの内容に当初、現場には戸惑いが広がった。「正直、ドキドキしました」。教師6年目の広峯絢香教諭(28)はそう振り返るが、「子どもを見守る目が増えて心強い。周囲の手助けも求めやすくなった」と話す。生徒指導担当の江良真一教諭(45)も「指導がどう影響したかがよくわかる」とプロットの効果を実感する。導入前より児童に目が行き届き、表情や行動の変化に気づきやすくなったという。市教委は、プロットを年数回作成して変化を追うことを推奨している。要望があれば、担当者を派遣してプロットの分析方法などを指導している。同小の山崎恵子校長(55)は「社会性を学ばせるという学校の役割は、以前より増している。そのことを再認識しながら、子どもたちに接していきたい」と話している。

 

 

◆平成242012)年1122日 毎日新聞 地方版朝刊

 壊れた絆:児童虐待の現場から/下 マナミとナオ、未来 /群馬

 ◇自分の居場所作り 「風の家」の門たたく 希望に一歩ずつ成長

 

 「死なせてくれよ」 大量服薬から数日後、病院で目覚めたナオ(17)=仮名=は泣いて暴れた。退院後の4月。薬の影響が残り、歩くこともおぼつかない状態で運び込まれたのが、行き場のない未成年者を受け入れる県内唯一の自立援助ホーム「ぐんま風の家」(前橋市)だった。知人宅を転々としていた双子の姉マナミ(17)=同=も「やり直したい」と水商売の仕事を辞め、ナオを追うように風の家の門をたたいた。門限は午後10時。事前届け出で外泊も可能。民間で運営する自立援助ホームは公的施設に比べて規則が緩やかで、トラブルさえ起こさなければおおよそのことは許容されるが、2人は常に風の家のトラブルの中心にいた。夜遊びの癖が抜けないマナミは門限後に風の家を抜け出し、ナオはカッとなると壁やドアを殴って壊した。姉妹げんかは激しく、スタッフでも止めるのに一苦労する。ほかの入所者への影響を考え、退所させるべきか話し合われたことも。佐藤昌明ホーム長も「いろいろな子を見てきたが、2人は特に強烈」と苦笑いする。

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 「ここにいたい。でも、望まれないのなら出るしかない」 2人の気持ちも揺れていた。ほかに行き場がないことは誰よりもわかっていたが、虐待を受けて育った2人は人一倍大人の視線に敏感で、スタッフの何気ない一言で傷ついた。

 「死にたい」 風の家を飛び出し、自殺願望を口にすることもある。それでも、スタッフや入所者と衝突を繰り返しながら、少しずつ折り合いをつけ、自分の居場所を作ってきた。2人は、門限までに帰れる居酒屋のアルバイトを夏から始め、すでに3、4カ月。2人にとって、夜の仕事以外でこれだけ長続きしたのは初めてだった。親の保護下にある同世代を見ると「なんで自分だけ」とイライラすることもある。急な欠勤や上司への反発で怒られることも多いが、辛抱強く雇ってくれる勤務先で、少しずつ責任感も芽生えてきた。マナミは「仕事とか、やらなきゃいけないことがあるから、最近は死にたいと思うことは少なくなった」と笑う。

  

 「自分の将来に光が見えない」。そう話していた2人も夢を描くようになった。マナミは「普通の家庭を築いて幸せになりたい」、ナオは「同じような境遇で苦しんでいる子の力になりたい」と語る。不安も大きい。カッとなりやすく、意志が弱い。そんな自分の悪い部分が、母と重なる。母も祖父母から暴力を受けて育ったことを、最近知った。「暴力って遺伝するのかな」 怖くなった。それでも、佐藤ホーム長は「急な変化は難しいが、少しずつ変わってきている」と語る。やっと見いだした自分自身への希望が、2人を一歩ずつ成長させている。

 

 

◆平成242012)年1121日 産経新聞 大阪朝刊

 児童虐待の加害者にするな 同世代の母親や行政が支援の手

 

 子供への虐待が後を絶たない。最悪の場合、子供を死に追いやってしまう虐待を、母親を支援することで阻止しようという「虐待予防」という考えが注目されている。虐待件数ワースト1の大阪府では、20代の母親らが同じ世代の母親を虐待の加害者にさせまいと、啓発活動などを行っている。

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 ◇当事者視点で

 「英字新聞使ったらかっこいいやん」「カラフルな方が目立つんちゃう」 今月上旬、大阪市平野区の区民センター。児童虐待防止活動に取り組むサークル「Shiny☆c(シャイニー・カラー)」のメンバーらが、イベントで使うポスターの図案を話し合っていた。メンバーは皆、髪を明るく染め、きれいに化粧をして流行の服に身を包んだ「ギャルママ」だ。児童虐待の取り組みを行おうと考えたのは約2年前。大阪市西区で幼い子供2人を自宅に置き去りにし死亡させたとして、当時23歳の母親が逮捕された事件がきっかけだった。「母親は同年代。どこかですれ違っていたかもしれない。これはひとごとではなく、『友達』が起こした事件なんだと思いました」と、代表の吉沢有香里さん(26)は振り返る。吉沢さんも4歳と2歳の兄弟の母親だ。事件を知り、子供だけではなく母親も救うことができなかったと感じたという。当時、吉沢さんは若い母親たちの情報交換の場を作ろうと、交流サークル活動を行っていた。子育てに行き詰まっていた母親が、サークルに入ったことをきっかけに笑顔を見せるようになったことなどから、同年代だからこそできる支援がある、と思いを強くした。今年6月、サークルを「シャイニー・カラー」に衣替えし、虐待防止活動を本格始動。22人のメンバーとともに、映画上映や有識者らを招いた座談会などを実施した。今月17日には、大阪府八尾市で子供の人権や暴力防止を広める活動をする団体とともにワークショップを行った。吉沢さんは「自分たちにできることはきっとある。これからも、当事者視点でやっていきたい」と話している。

 

 ◇1人で悩まず

 行政側も母親への支援を始めている。平成2223年に公表された厚生労働省の「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」では、加害者である保護者側の背景として、「望まない妊娠」「妊婦健診未受診」「母子健康手帳未発行」が多いことを挙げている。そんな背景を受け、昨年10月、大阪府は府立母子保健総合医療センター(同府和泉市)に委託して「にんしんSOS」を立ち上げた。予期せぬ妊娠で、「パートナーと結婚できない」「育てられない」「出産費用がない」といった相談を電話やメールで助産師らが受け、産婦人科の受診を勧めたり、助産制度を担当する行政の窓口などを紹介したりしている。立ち上げから1年で相談件数は延べ627件に上った。府保健医療室健康づくり課は「1人で悩まず、まずは相談してほしい」と話している。

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【用語解説】妊婦健康診査

 妊婦の健康状態や胎児の育ち具合などをみるために行う、身体測定や血液・血圧・尿などの検査。厚生労働省では、少なくとも毎月1回、妊娠24週以降は同2回以上、妊娠36週以降は毎週1回、それぞれ受けるように指導している。大阪府の調査では、妊婦健診を全く受けないか、数回しか受けずに出産したケースは昨年1年間で254件あったという。