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児童養護ニュース

◆平成242012)年1121日 毎日新聞 地方版朝刊

 壊れた絆:児童虐待の現場から/中 マナミとナオ、過去 /群馬

 ◇姉は病院、妹は施設 「荒れた生活が楽」 少年院出て居場所なし

 

 再び児童相談所(児相)に一時保護された時、マナミ(17)=仮名=は水も飲めなくなるほど精神的に不安定な状態になり、東京都内の病院に強制入院。そのまま中学卒業まで病院で過ごした。母が見舞いに来ることはなく、手続きで立ち寄った時も激しい言い争いになった。暴れるマナミを、病院側は拘束具でベッドに固定。「トイレやお風呂以外は動けず、白い天井を眺めていた」

 マナミが入院中に、母と双子の妹ナオ(17)=同=は東京から群馬に引っ越した。虐待は変わらず、食事もカップラーメンやコンビニ弁当ばかりだった。母親らしいことをしてもらったことはなかった。ナオも荒れた。喫煙や暴力……。中3で児相に保護された。秋からは児童自立支援施設「県立ぐんま学園」(前橋市)に入所。規律のある寮生活が始まったが、注意されると暴れ、職員に物を投げつけた。「ママがそうしていたから、それが当たり前だと思っていた。『普通』を求められても、『普通』がわからなかった」。同園の菊地常仁係長は「まっすぐな子だが、気持ちの表し方が不器用だった」と振り返る。

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 2人が家を離れている間に母は再婚。中学卒業とほぼ同時期に2人は家に戻った。しかし、母の暴力は変わらなかった。2人はそれぞれの友達や知人の家を転々とした。定時制高校に進学したマナミは暴走族や暴力団の男と過ごすようになった。高校受験に失敗したナオは、目が合ったというだけで、けんかを吹っかけるようになっていた。「自分は異常だと思っていたから、荒れていた方が楽だった」

 10年7月。2人は偶然にもほぼ同じ時期に別の傷害事件で逮捕され、別々の少年院へ送致された。私語すら厳禁の規則正しい生活。「入ったからには更生したかった」と当初からまじめに過ごしたマナミに対し、ナオは何度も私語や反抗の違反を犯した。それでも、途中から「周りを見返したい」と態度を改め、マナミは昨年7月、ナオは同9月に退院した。

  

 しかし、相変わらず居場所はなかった。2人は再び友達や交際相手を頼った。生活費や遊興費を稼ぐため、年齢を偽って水商売などで働いた。寂しさを埋めるため、マナミは夜な夜な友達と遊び回り、ナオはホストクラブで散財した。マナミは「生きているのが怖かった。みんなと遊んで時間を忘れるのが私の逃げ道だった」と語る。ナオは年明けに体調を崩して病院に入ったが、退院後は仕事を続けられなくなった。「生きていて何が楽しいんだ」。知人宅に身を寄せていたが、激しい孤独感に襲われた。自殺未遂を繰り返し、今年3月、知人宅で大量服薬して意識不明になり、病院に運び込まれた。

 

 

◆平成242012)年1121日 毎日新聞 西部朝刊

 いじめ:小中高の教師の7割、対応に「時間不足」−−毎日新聞調査

 

 小学校から高校の現役教師の約7割が、いじめへの対応に「時間が足りない」と感じていることが毎日新聞のヒアリング調査で分かった。4割は保護者との信頼関係に自信がなく、3割が校内の組織的対応が不十分と考えていることも判明。さらに2割が警察や児童相談所との連携が不十分と答えた。大津市の中2自殺問題を受け、文部科学省は緊急いじめ調査の集計を急いでいるが、いじめを発見しても学校が十分な対応をできない状況が明らかになった。

 調査は全都道府県の現役教師計104人に対し、電話などによるヒアリング形式で実施。内訳は男性73人、女性31人で、小学校38人▽中学校30人▽高校36人だった。「1人で対応できないレベルのいじめ事案」に対応する際に、不十分と思う内容を聞いたところ、69人が「時間」を挙げ最多だった。次いで「保護者との信頼関係」46人▽「人手」43人▽「組織的対応(校内、職員同士の信頼関係)」32人——だった。また「他の機関(警察、児童相談所など)との連携」も24人が挙げた。自由回答で課題を聞いたところ、時間不足の理由として「教育委員会からの調査依頼や会議が増えた」(北海道・小学50代男性)、「書類作成や授業準備などで、じっくり生徒の話を聞けない」(福井・高校20代男性)など、多忙すぎる教師が生徒とのコミュニケーション不足に悩んでいる実態が改めて浮き彫りになった。保護者との関係については「世の中の人権に対する考え方が敏感で『いじめをしているのではないか』と疑うことですら『人権侵害』と言われがちで対応しづらい」(大分・高校40代男性)など意思疎通の困難さを訴える声が多く、学校全体でのいじめへの対応についても「形式的には対応するが、実際は1人の先生におんぶにだっこが現状」(新潟・高校50代男性)と実情を訴えた。また、警察など他の機関の介入については「学校と保護者との信頼関係を損ね、修復にかなりの時間と労力を要する」(愛知・中学40代男性)と抵抗感を示す意見もあった。

 

 ◇授業増加/教員評価に疑問

 いじめを発見できても十分に対応できない——。そんな学校現場の実態が明らかになった教員へのヒアリング調査。九州・山口でも、授業以外の業務増を理由に、いじめの把握や対応の難しさについて嘆く声が相次いだ。

 小学校では11年度、中学校では12年度から主要教科の授業時間を約1割増やした新学習指導要領が実施された。事務作業も多く、文部科学省の調査によると、教員の1日の平均休憩時間はわずか10分だ。このような状況に、佐賀県の中学校の男性教員(40代)は「新学習指導要領で授業時間数が増えた上に授業以外の業務も増え、生徒とゆとりを持って話せる時間がとれない」と悲鳴。宮崎県の高校の男性教員(30代)は「生徒とコミュニケーションを取るゆとりがない」と改善を訴えた。

学校の隠蔽(いんぺい)体質を問題視する声も目立った。長崎県の小学校の女性教員(50代)は「教師はいじめがあると『力量がない』と判断されるのが嫌で隠そうとする」と語るなど「教員評価」の在り方に疑問を投げかけた。山口県の小学校の男性教員(50代)は「教員同士が何でも打ち明けられるような環境が必要」と指摘した。

 家庭が複雑・多様化する中、家庭環境の改善を学校側に求められるケースも少なくない。福岡県の小学校の男性教員(40代)は「いじめの原因と解決を教育現場だけに求めても解決しない」。同県の中学校の男性教員(50代)は「教員はもちろんスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーを手厚く配置するなど学校教育に人件費の予算をしっかりつけてほしい」と注文を付けた。

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 ◇いじめへの対応に関する現役教師の声(抜粋)

 <時間や人手が足りない>

・忙しくて余裕がない。土曜に授業があった時代の方がむしろ時間的、精神的余裕があった。(山梨・小学50代女性)

・クラスや学年、学校が荒れている場合、人手が足りず、生徒と向き合う時間が取れない。教師を増やし、煩雑な書類作成などを極力減らしてほしい。(兵庫・高校40代女性)

・いじめに関する調査が「調査のための調査」にならないか心配。調査は大切だが、親や生徒と話す時間も確保してほしい。(長崎・中学40代女性)

 <保護者との信頼関係>

・保護者が学校や担任への信頼を喪失していると、情報共有や連携が取りづらくなる。子供の学校への安心感の喪失につながる。(新潟・小学20代男性)

・(いじめの加害者の)我が子を親がかばい、事実を受け止めず学校を敵視する家庭がある。(栃木・高校50代男性)

・いわゆる「モンスターペアレント」といわれる保護者が一人でもいると、その学年は振り回される。「教師が悪い、学校が悪い」と言われ、教師が精神的に追い詰められる。余裕を持って生徒に接することができない。(東京・高校50代女性)

 

 

◆平成242012)年1120日 読売新聞 大阪朝刊

 先輩ママ 育児手助け 徳島のNPO家庭訪問 悩み聞き取り=徳島

 

 先輩ママが子育ての悩みなどを持つ家庭を訪問し、相談や育児の手助けをする子育て支援事業「ホームスタート」を、徳島市のNPO法人が11月から始めた。四国では初めての試みで、「周囲に子育てに関する情報を聞ける相手がいない」「大勢が集まる場所が苦手」といった、様々な育児の悩みを抱えた若いママたちの助けになりたい考えだ。

 実施するのは育児支援を行う徳島市のNPO法人「子育て支援ネットワークとくしま」(Kネットとくしま)。事業は今年度、県の「地域で子育て楽々モデル事業」に選ばれ、同法人が今年8月末からボランティアを募集。研修を経た12人のママが今月から、「ホームビジター」として活動できることとなった。事業は「オーガナイザー(調整役)」と呼ばれる担当スタッフが、依頼先の家庭を事前に訪問し、育児状況や困っていることなどを聞き取り。その後、「ホームビジター」が週1回、約2時間を目安に計4〜6回訪れ、子育ての悩みや不安を聞いたり、一緒に公園や買い物に出かけたりするなど、必要に応じた支援を行う。初日の13日は、カウンセリングのために「オーガナイザー」2人が生後6か月の男児を持つ徳島市の30歳代の主婦宅を訪問。事前に記入してもらっていたアンケートに従い、「困っていることはありませんか」「どんなサポートを期待していますか」と質問していった。Kネットとくしまの松崎美穂子理事長は「子育てに悩みを持つお母さんたちを、地域全体で支えることが大切。家庭に寄り添った支援をこれからもしていきたい」と話している。利用無料で、徳島市、藍住町、石井町に住む6歳以下の未就学児がいる家庭が対象。来年2月末まで希望者を募集している。問い合わせはKネットとくしま(0886785200)へ。

 

 〈ホームスタート〉

 1973年に英国で始まった市民参加型の子育て支援ボランティア。日本では2006年に東京都で「ホームスタート・ジャパン」ができ、08年から事業をスタート。その後、各地で同様の事業が始まり、現在、全国19都府県で取り組まれている。子育ての悩みを抱える母親が、社会から孤立することを防ぐことで、児童虐待などを未然に防止する役割も期待されている。

 

 

◆平成242012)年1120日 毎日新聞 地方版朝刊

 広島・長女暴行死:担当の児相、見守りや経過確認せず 09年度以降6件 /広島

 

 府中町の小学5年、堀内唯真(ゆま)さん(当時11歳)が母親の亜里(あさと)被告(28)=傷害致死罪で起訴=から暴行され死亡した事件を受け、県は19日、唯真さんの児童養護施設入所措置を担当した児童相談所「県西部こども家庭センター」(南区)が09年度以降にかかわった案件の状況を公表した。今年10月末の間、家庭への引き取りで入所措置を解除した64件のうち、見守りや経過確認などを全くしていない事案が、唯真さんの件を含めて6件あった。

 県によると、内訳は09年度2件▽10年度4件▽11年度以降はなし。同センターは6件とも「虐待再発のリスクが低く、見守りの必要はない」と判断し、地元の要保護児童対策地域協議会などに連絡をしていなかった。安否状況を確認したが、いずれも問題はなく、既に関係機関への見守り・支援を依頼した。唯真さんは11年3月に入所措置が解除され、亜里被告と暮らしていたが、県は「虐待再発のリスクは低い」と判断。府中町には電話で転入などの情報を伝えたが、文書での引き継ぎはせず、それ以降は対応していなかった。厚生労働省の指針は「入所措置解除後の継続指導期間を少なくとも6カ月程度」と明記しており、県の措置後の対応が検証されている。

 

 

◆平成242012)年1120日 毎日新聞 地方版朝刊

 壊れた絆:児童虐待の現場から/上 マナミとナオ、生い立ち /群馬

 ◇「殺される」恐怖も 「ママを許せない」 姉入所で妹が標的

 

 「ママが憎い。許せない」。母から受けた虐待を振り返るマナミ(17)=仮名=の口調には、強い怒りがにじむ。一方で、同様に母からの激しい暴力にさらされてきた双子の妹ナオ(17)=同=の思いは少し異なる。「許せない。けど、ママを苦しめているのは私かもしれない」。2人は現在、母の元を離れて前橋市内で生活。虐待で受けた心の傷に苦しみ、挫折を繰り返しながらも、少しずつ前に向かって進もうとしている。

 東京で暮らしていた。2人の両親は5歳の時に離婚し、母が2人を引き取った。虐待が始まったのは、2人が小学3、4年のころ。母は感情の起伏が激しく、自分の意見を言えるようになった2人に対し、気に入らないことがあれば殴り、物を投げつけた。特にマナミへの暴力は激しかった。ナオは、「マナミのほうがママに反抗的だった」と振り返る。マナミは高学年になると何度も都内の児童相談所(児相)に一時保護された。卒業とともに児童養護施設に入所してからは、家に残ったナオが標的になった。

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 ナオが中学生になり、体も大きくなると、母の暴力に抵抗できるようになった。それが気に入らなかったのか。虐待はエスカレートした。ガラスの灰皿で頭を殴られ、たばこの火を押しつけられた。包丁を向けられ、「殺される」と思ったことも何度もあった。冬に裸でベランダに閉め出され、朝まで凍えながら過ごしたこともあるという。一方で、母は精神的に不安定で何度も自傷行為を繰り返していた。リストカットして血だらけで倒れている母を見つけ、ナオが慌てて救急車を呼んだこともある。「私がいるからママは自由になれないのかも」。母の暴力に耐えながら自分自身を責めていた。

  

 施設に入ったマナミも親子関係の修復を目的に月に1回、1泊2日で一時帰宅していた。母と会うのは嫌だったが、門限が厳しい施設から出られる数少ない機会だった。一時帰宅した時の母は優しく、家族だんらんで食卓を囲んだ。中2の秋に正式に家に戻ることが決まると、「もう暴力を受けることはないかもしれない」と期待に胸をふくらませたという。しかし、期待はすぐに裏切られた。マナミは母と頻繁に衝突し、その度に激しい暴力を振るわれた。「おしゃれなんてするな」と、胸元まで伸ばしていた髪を肩口まで無理やり切られたことも。精神的に不安定になったマナミは、リストカットや大量服薬を繰り返した。家に戻ってわずか1カ月。母とのののしり合いを聞きつけた近隣住民の通報で警察に保護され、再び児相に逆戻りした。「あのころにはもう、母親とは思っていなかった」

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 慈しみ、育てていくべき子どもを激しく虐待してしまう保護者ら。県警の検挙者数は昨年22人と過去最悪になった。児童虐待防止推進月間の今月、壊れた絆を抱えながら歩き続ける子どもたちの声に耳を傾けた。