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出産リスクの高まりに備える「自宅出産」の基礎知識

この記事は、2007年にメディアサボールに掲載された記事です。

 

昨年あたりから、産科・周産期医療関連のニュースがマスメディアに頻繁に取り上げられている。2006年2月に福島県立大野病院産婦人科医師の逮捕が、2007年8月には神奈川県堀病院の看護師内診問題と奈良県大淀病院妊婦転送死亡事件が次々と報道された。

 このような事件は、産婦人科医の不足が原因の一つとしてあげられる。しかし、もし、あなたが妊娠しているのならば、自宅出産を考えておくというのも一つの自衛手段なのだ。

 日本は、長い間、産婆(助産師)に手伝ってもらいながら出産するのが主流だった。だが、第二次世界大戦後、産婦人科が病院に整備されると、産婆の需要は激減していった。 ただ、少しではあるが自宅出産する人の割合が1990年頃から増えてきている。
http://allabout.co.jp/children/birth/closeup/CU20030324b/index.htm

 このような自宅出産の流れは、日本だけでなくアメリカやカナダでも広がってきていて、良い助産師と出会えれば、自宅出産を希望する人が増えてきているのだ。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20050704ik0b.htm

 まず、自宅出産の場合は、助産師を探すところから始まる。助産師とは、看護士資格者が助産師学校に半年以上通って、国家試験に通過して取得するか、看護大学で助産の講座を受講した人に与えられる歴とした国家資格。ほぼ100%女性なので、女性の産婦人科医希望なのに、なかなか見つからない人には一筋の希望の光だと言える。出産に関する知識では、産婦人科医に劣らない。唯一違いがあるのは、出産後に会陰切開が必要な場合に縫合することができないくらいである。

  まずは、助産院などで助産師に会って、じっくり説明を聞く。
「何かあった時は、どうするのかな?」
「わたしは自宅で産めるのかな?」

「この助産師に依頼しよう!」
そう決めるのは、しっかり説明を受けてから。

 妊娠中の健康診査は、自宅に助産師が訪問して行う。妊娠期間中を健康に過ごすために、また、安産に向けての体づくりのアドバイスもしてくれる。

 ただし、前期・中期・後期のどこかで、産婦人科医師の検診も受けなければならない。自宅出産できない状況になった時などに受け入れてくれる病院に依頼する。妊娠経過が順調で37週になり、その病院の医師に自宅出産の許可をもらって、自宅出産に臨めるのだ。

 次に、一番メインの出産時の流れを紹介しよう。分娩開始の徴候(陣痛や破水)があったら、助産師に連絡する。分娩の進行具合によっては、しばらくの間、家族だけで過ごすことになるかもしれない。この辺は、出産前に家族全員が産前に心得ておくべきことだ。

 陣痛が始まっても、散歩に出かけたり、洗濯物を干したりと日常生活を続けながら、機が熟すのを待つ。そして、自分の思うままに体を動かし、好きな姿勢でお産を迎える。いよいよ出産、陣痛も強くなり、分娩が進行してくると、助産師2名で子どもを取り上げる。

 赤ちゃんが産まれ胎盤が出た後、2時間は助産師が付き添う。その間に、赤ちゃんの体重を計ったりして、産着を着せる。はじめておっぱいを吸うのもこの時。まだまだ母乳は出ないが、おかあさんの顔をじっと見つめながら、赤ちゃんは一生懸命おっぱいを吸う。きっと、おかあさんと赤ちゃんの至福のひとときとなるだろう。

 分娩から2時間後、赤ちゃんとおかあさんに異常がないことを確認してから、助産師は帰る。

 これだけでは、自宅出産は終わらない、出産後も一ヶ月は、助産師が母子の健康状態を見守ってくれる。出産の翌日から5日間、毎日訪問して、赤ちゃんの沐浴や健康状態の観察、おっぱいのケアなどを行う。助産師は24時間ずっと一緒にはいないが、いつでも連絡できる。おっぱいのことなど、気になる事があれば、5日間をすぎても必要に応じて訪問してくれる。1ヶ月検診も自宅に訪問する。

 しかし、自宅で産んだからといって、産んだその日から家事や上の子供たちのお世話ができるわけではない。1週間は入院している気持ちで生活できるように、その後も床上げまでの3週間は家事をしなくてもよい様に、お手伝いしてもらえる方を確保しなければならない。

 実家のお母さんに来てもらう人、夫が育児休暇を取る人、産褥シッター(さんじょくしったー:産後、お母さんの体調が妊娠前に戻るまでの6から8週間を産褥期といい、その間をサポートするサービス。産褥シッターの場合は、赤ちゃんのお世話に加えて、料理や
洗濯・買い物など、家事も代行してくれる)を依頼して家事をしてもらう人など、様々である。もちろん助産師も相談に乗ってくれる。

 自宅出産は、リスクが高いように思っている人はまだまだ多い。だが、十分な準備ができていれば、家族に見守られながら暖かく新しい命を家族の中で迎えられる、素晴らしい出産方法である。あなたも、自宅出産にチャレンジしてみませんか?