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2012年

10月

25日

団塊・シニアビジネスに求められる発想の転換

この記事は、2007年メディアサボールに掲載された記事です。

 

団塊世代の定年ラッシュが今年から始まった。

私の父も、今年で定年退職する予定だったが、もう一年間だけ、契約社員という形で会社に残ることになった。その理由として年金受給開始年齢問題があった。 
 
団塊世代の年金制度は、昭和61年の大改正により、老齢厚生年金は老齢基礎年金と共に65歳から支給されることになった。
 
その後、平成6年の改正により生年月日に応じ定額部分の支給開始年齢が引き上げられた。
 
さらに、平成12年の改正で、報酬比例部分の開始年齢も引き上げとなる為、昭和36年4月2日生まれ以降の男性(女性は41年4月2日以降)は、引き上げが完了し、原則65歳からの支給となる。
 
団塊の世代を昭和22年生まれから24年生まれと定義すると、多くの場合、報酬比例部分は60歳から受給できるが、定額部分は65歳受給となる為、満額受給できるのは65歳からとなり、加給年金も同じく65歳までは受給できない。 

リクルートの調査では、この世代は、老後を快適に過ごすための資金として半数が最低ラインとして3000万円必要と回答している。

この貯蓄額を実現しているのであれば定年退職後から年金受給開始までの期間を十分に過ごせるのである。
 
このような世代を対象としたビジネスは、数年前から様々なモデルが提示されてきた。しかし、成功例は少ない。

その原因を、『団塊・シニアビジネス「7つの発想転換」』(ダイヤモンド社・村田裕之)では、綿密な市場調査をしても顧客のニーズがつかめない市場調査の壁、せっかく確保した見込み客が、実際の顧客にならない顧客開拓の壁などがあると指摘している。 
 
要するに、団塊・シニアビジネスの現場で直面する難題は、市場の多様性が強まっていることに起因するものと、そうした市場に柔軟に対応できていない組織上のものである。

こうした壁に突き当たる最大の理由は、これまでの成功体験や過去の因習が、組織を構成する上層部の人たちのなかに根強く残っていることにあるのだ。
 
このような状況を反省材料として、団塊・シニアビジネスには、 過去のモデルにとらわれない新しいビジネスのやり方が必要とされている。 
 
その新しいビジネスモデルとして、顧客の欲しいものを個別に把握してから、スーパーなどの品揃えを変えるというものがある。

一人の顧客が欲しいとリクエストしたものは、その顧客が口コミで商品のよさを伝え、ロングセラー商品になっていく。
 
コンビニのような売れているものだけを店に置くというPOSシステムでは、団塊・シニアのニーズを満たすことができないのである。

顧客自身が欲しい商品を揃えれば、同じ世代の顧客が多い店ではヒット商品になりやすくなる。
 
団塊シニア世代の消費行動はきわめて多様であり、シニア市場という大規模な市場はない。だからこそ、商品の売り手が一方的に商品を押し付けるのではなく、多様な機会の選択肢を用意して、顧客に選んでもらう方法を工夫するところにビジネスチャンスが隠されているのである。
 
したがって、住宅会社が、購入者のニーズをヒアリングせずに、バリアフリーや介護を謳い文句にして、一律に建て売り住宅を販売しても、ニーズの多様化という面を考えれば、多くの買い手の支持を獲得するのは困難であろう。
 
アメリカでは、高齢者用のインフラ設備供給が1960年代から進んでいる。一方で、1980年代から高齢者人口が急増している高齢者大国日本では、インフラの供給が需要に十分応えられていない。

だが、この状況をプラスに考えて、ビジネス展開を考えるのであれば、団塊・シニア層のマス・ニーズを捉えようとするのではなく、個別の趣味嗜好に対応できるような商品、サービスの提供をこころがけることだ。団塊世代を対象としたビジネスは、成長の余地が十分に残されている魅力的なマーケットであることに疑いはない。