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『悪魔の飼育』(佐藤雄駿・徳間書店)

普段から、他愛のない話をする僕としては、

「佐藤くんの言葉の源泉はどこにあるのだろう」…と、

この『悪魔の飼育』を読んで思った。

何気ない言葉の数々が彼によって翻訳されると20代とは思えない、

重い響きを持った言葉で自然に表現される。

 

彼はこの作品の主人公全ての心のパーツを持っている。

しかし、自伝小説にならないのは読書家ならではの内在化された技巧だろう。

 

意外にも僕は佐藤くんの内面を知らなかった。

彼は、あまり何時間話しても自分の核の部分を見せない。

(時々、鬱っぽい行動、「眠れないので十駅くらい歩いて帰ってきた」とか…は聞いていたけど)

多分それを音楽や小説で表現しているのだろう。

 

この小説での短編の主人公は、

自らの経験を微分・積分して構築したものだろう。

 

そこには「死」がベースとドラムのリズム隊が奏でる通底音のように流れているのだが、実は同時に主人公たちの「生」への希求がギターとボーカルの主旋律として描かれている。

 

それぞれの短編で主人公たちは、sick(or addiction) of searching for meaning of life「生きる意味を探す病気(依存)」だと思った。まさにグランジロックの雄、ニルヴァーナに影響を受けた彼らしい表現形態。

 

僕は、様式美派メタルが好きなので、音楽の趣味は彼とは合わない。ただ、「生きる」を考え続けることに関しての追求心などは不思議と合う。

 

この小説を書く前に僕は佐藤くんに赤面するような熱いメッセージをメールで送ったらしいが僕は忘れていた(笑)「生きる」の追求においても彼のようにストイックになれないので、このズレが面白い。それゆえにこの小説は興味深かった。

 

読了感は人それぞれだが、思考がぐるんぐるん回り出す感覚を味わえる作品。

生きづらさや若者心理などのバズワードに関係なく多くの人に読んで欲しい作品だ。