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児童養護施設 入所の高校生、進学不安 「お金ない」9割 ほか

◆平成23(2011)年11月9日 毎日新聞 地方版

県の里親委託率5.8%、全国ワースト8 岡山市も8.5% /岡山

 虐待を受けたり、親を亡くして行き場がない子どもたちの里親委託率が伸びず、厚生労働省によると、県の里親委託率は昨年3月末時点で5・8%と、全国で8番目に低かった。最も高い新潟県は32・5%で5倍近い差があった。一方、政令市の岡山市も4月1日時点で8・5%にとどまっている。

 里親委託率は、児童相談所の措置で児童養護施設などの施設や里親のもとで暮らす18歳未満の子どものうち、里親と暮らす子どもの割合を示す。子どもの養育には家庭的な環境が望ましいが、日本は、欧米諸国と比べても里親委託率が低いとされる。このため厚労省は、家庭での養育が困難な子どもにとって里親制度が有効として、自治体に里親の普及を要請している。岡山市では、政令指定都市となった09年から、民生委員などを対象に講演会を開くなど啓発活動に力を入れ、里親は徐々に増えつつあるが8・5%にとどまる。委託率が伸びない理由として、里親自身が子育てに行き詰まるケースがある。岡山市こども総合相談所は「経験やノウハウがないと対応が難しい」と指摘する。家族と暮らせない子の中には、虐待を受けたり発達障害があるなど人間関係づくりが困難な子も多い。知識を持った施設職員による専門的なケアが必要な場合もあるという。

 ◇「時間をかけ“家族”に」 国内初のコミュニティー

 支援が必要な子どもとその里親を地域で支える福岡市のNPO「子どもの村福岡」の専務理事、大谷順子さんが北区で講演し、里親家庭5世帯が集まる国内初のコミュニティーづくりの経験を紹介した。虐待などで行き場を失った子どもたちを支援する仕組みについて「一人のマザーが子どもを抱きしめることが大事」と強調した。

 講演は、岡山市のNPO「子どもシェルターモモ」が5日開いたシンポジウムの一環。子どもの村には、里親家庭の家5軒と専門知識のあるスタッフが住む家があり、児童相談所に一時保護された0~6歳の9人が里親と暮らす。小児科医が定期的に通うなど子どもを見守る体制を整え、子育てに行き詰まった里親の孤立を防ぐ。ホールも設置し、コンサートなどを通して地域の住民とも交流できる。大谷さんは「最初は表情が固く『眠れない』と大声を上げた子もよく食べ、眠るようになった」と話す。課題は、2億円以上の建設資金だった。大谷さんは「女性や子どもを支援する多くのNPOに呼びかけた」。実行委員会には地元企業や市の幹部らを迎え、募金活動にも力を入れた。大谷さんは「子どもの村では本当に“家族”となるまで時間をかける」と語った。

 

◆平成23(2011)年11月8日 中国新聞 朝刊(共同通信)

 里屋の養育 保護の12% 10年度 0~1歳児 自治体間で差

 厚生労働省は7日までに、2010年度に児童相談所が保護し、虐待や経済的な理由で親と暮らせないと判断した0~1歳児2185人のうち、里親に預けた子どもは12%の273人だったとの集計をまとめた。残る88%の1912人は乳児院で養育。自治体によって里親に預ける割合に差が出た。

 厚労省は、施設より家庭的な環境で育てることが望ましいとして、里親による養育を現状の3倍に増やす目標だが、自治体によっては、引き合わせなどに手間がかかる里親を避け乳児院を選ぶ傾向があるとみている。集計は、47都道府県と19政令市のほか、児童相談所を運営する3市ごとにまとめた。里親に預ける割合は山梨県の84%、北海道(札幌市除く)の68%が高かった。一方、保護した児童を乳児院には預けるものの、里親による養育は行わなかったのは広島県、鳥取県、岡山市など24県市だった。

 

◆平成23(2011)年11月8日 毎日新聞 東京夕刊

 親族里親:東京都、認定たった1人 施設入所児童のみ 独自基準、適用外で悲鳴も

 身寄りのない子を3親等以内の親族が育てる「親族里親」の制度で、引き取り時に子供が児童養護施設に入っていることを条件とする厳しい基準を47都道府県で唯一、東京都が持っていることがわかった。都内で親族里親に託された子はたった1人で、福岡県や大阪府が40~50人前後認めているのに比べかなり少ない。専門家は「子供の福祉を考えていない」と批判している。

 東京都の女性(44)は09年、病死した妹=熊本市在住=の一人娘であるめい(7)を引き取り、都に親族里親を申請したが「施設で暮らす子しか適用できない」と断られた。妹は離婚し、元夫は養育放棄。生前「頼れるのはお姉ちゃんだけ」と言われていた。妹の死後、熊本市から「5歳児が一人で暮らすことになる。すぐ住所を移してほしい」とも言われ、住民票を移し共に暮らし始めた。親族里親には月5万円の養育費や医療費が支給されるが、女性には一切ない。「形式的でも施設に入れればよかったのか、と児童相談所で聞いたが返事はなかった。何のための制度なのか」。節約のため100円ショップに行くようになった。

 都の基準は「児童養護施設などに入所し、入所前に当該児童と生計を一にしていない親族に引き取られること」とうたう。いったん共に暮らし養った後は、一切認められない。都育成支援課は「一度でも親族が子供を保護した時点で、公費を支給する親族里親制度は必要ないと考える」と説明する。厚生労働省家庭福祉課は「都の基準は初めて知った」としつつ、「子供の福祉に反していれば見直すべきだが、基本的には自治体が判断することだ」と話す。親族里親の運用基準は自治体ごとに微妙に異なるが、「子供にとって安定した関係が築けるので真っ先に親族をあたる」(京都府)と親族を頼る自治体は少なくない。日本女子大の林浩康教授(社会福祉学)は「都の基準は、子供の幸せより管理する側に都合のよい仕組み。子育ては経済的にも体力的にも負担が重く、社会的支援が必要」と指摘。都の消極姿勢については「養育費目当ての偽装離婚など悪用への懸念があるのでは」と分析している。

 □ことば ◇里親制度

 児童福祉法で規定し、養育里親や専門里親などがある。親族里親は親の死亡や行方不明で子を養育できない時に、3親等以内の親族が育てる制度。自治体が認定し養育費を出す。東日本大震災で多くの遺児が生まれた後、厚生労働省はおじやおばは親族里親ではなく養育里親と同じ扱いとし、月7万2000円の里親手当を支給できるよう省令を改正した。

 

◆平成23(2011)年11月8日 毎日新聞

 シェアハウス:児童養護施設巣立った若者の生活支援 女性シェアメート募集 /東京

 ◇渋谷に来春開設

 児童養護施設を退所した若者の自立支援をするNPO法人「ブリッジフォースマイル」は、渋谷区初台に新たに開設するシェアハウスで児童養護施設を巣立った若者と一緒に暮らす女性入居者(シェアメート)を募集している。

 児童養護施設は高校卒業と同時に退所しなくてはならず、子どものころから施設の生活しか知らない退所者にとって、退所後の生活基盤の確立が必要になる。シェアハウスは、退所した若者と一般の入居者がともに暮らすことで、若者たちの生活を支える。3月に入居ができる初台のシェアハウスは居室6室とリビングダイニングの間取り。女性退所者3人と一般入居者3人で暮らす。退所者が大学に進学した場合、学費と生活費をアルバイトで稼がなくてはならず、安価な住宅が必要になるという。ブリッジフォースマイルは10年から退所者の住宅支援事業「スマイリングプロジェクト」を展開しており、これまでに杉並区に男女それぞれ1棟のシェアハウスを開いた。家賃は4万~6万円。一般入居者は、20歳以上の女性。入居とスマイリングプロジェクトに関する問い合わせは、ブリッジフォースマイル事務局の林恵子さん(電話03・6842・6766。info@b4s.jp)。

 

◆平成23(2011)年11月7日 毎日新聞

 児童養護施設:入所の高校生、進学不安 「お金ない」9割--NPO調査

 ◇国補助、最高でも22万円

 全国の児童養護施設に入所し、大学や専門学校に進学を希望している高校生のうち、約9割が学費などの経済的な不安を抱えていることが、NPO法人「こどもサポートネットあいち」(名古屋市)の調査で分かった。施設の高校卒業生の進学率(大学、専門学校など)は23・1%と、全体平均(77・3%)の約3割にとどまっており、専門家は進学希望の子どもたちへの支援が必要だと指摘している。

 昨年7月、全国ほぼ全てに当たる563施設に3通ずつ調査票を送り、440人(約26%)の高校生から回答を得た。それによると、進学については33%が「とてもしたい」、21%が「少ししたい」とし、過半数が希望。理由は、もっと勉強したい(14%)▽取りたい資格がある(36%)▽就きたい仕事のため(34%)などが挙がった。進学希望者に不安なことを尋ねたところ、89%が「お金がない」と回答。卒業後に「1人暮らしができるか不安」などの声も上がった。一方、同時に実施した施設職員へのアンケート(回答208人)では、高校卒業後の進学について、生徒に「あまり勧めない」「勧めない」が32%に上り、うち半数以上が理由を「金銭的な問題」と回答。65%が「進学に当たっては入学時に(生徒に対し)100万円以上の補助が必要」と考えていた。子どもたちは、高校卒業後は原則として施設を出て「自立」しなければならない。進学者に国から支給される支度金は、最高でも約22万円。学費に加えて住居費や生活費などの負担もかかる。各種の奨学金は、希望者の一部しか受けられないのが現状だ。元施設職員で、調査の分析を担当した日本福祉大・社会福祉実習教育研究センター教員の吉村美由紀さんは「就職を選ぶ子どもが多いのも事実だが、子どもたちの職業・進路の選択の幅を広げることが大切。奨学金の充実に加え、どうしたら進学できるのか、施設側が子どもたちに早めに伝え、積極的に意識付けしていくことも必要だ」と話している。

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 □視点 ◇虐待、不安定な環境、塾にも通えず

 児童養護施設の高校生の進学率が全体平均に比べて約3割にとどまっている背景には、入所児童が抱えるさまざまな困難がある。厚生労働省の調査では、全国の入所児童のうち53・4%が親などから虐待やネグレクトを受けた経験があった。不安定な環境で育ち、基礎的な学力が他の子どもに追いついていないケースが多い。更に、施設に保護された後に学力を伸ばす態勢も十分とは言えない。今回の調査では、塾や予備校に通っていると回答した高校生は僅か1・4%。「施設の方針で高校生は塾に通えない」「お金がなく、自分だけ特別扱いしてもらえない」など、切実な声も寄せられた。進学希望者には、学校以外での学習支援が必要だろう。昨年末以降、施設に学用品などをプレゼントする「タイガーマスク運動」が注目されるようになった。貴重な善意を一過性のものにとどめることなく、子どもたちの可能性を伸ばすために、支援のあり方を問い直すべきだ。